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実践事例 / 公開物 / case

第12章 QAで暗号処理を調査し、人間の変更判断へつなぐ

セキュリティ要件の強化に際し、QAチャットで既存方式と処理位置を調べ、変更の検討につなげた事例。AIの調査支援と、人間による組織条件・将来影響の判断を分けて振り返る。

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  1. 公開

ai / 設計 / リファクタリング / レガシー / rag

読む目的: 自然言語サービス・RAG・ナレッジ / AI × ソフトウェア開発 / 事例・実務

このBookの目次(全12章)
  1. 全体構成
  2. 第1章 仕様を答えられない状態から、復元すべき情報を決める
  3. 第2章 対象システムの変更を妨げる構造と知識の不足を整理する
  4. 第3章 調査の起点を作るため、ファイルとクラスの役割を整理する
  5. 第4章 コードから仕様と依存関係を復元する
  6. 第5章 処理の流れを復元し、変更影響を追えるようにする
  7. 第6章 人が読む仕様とAIが使うKnowledgeを分ける
  8. 第7章 UI操作と内部処理を結び付け、操作結果を追えるようにする
  9. 第8章 復元したKnowledgeを、根拠を確認できるQAへつなぐ
  10. 第9章 正しさ・出典・回答拒否から、QAの利用可否を評価する
  11. 第10章 評価結果をKnowledgeと回答範囲の改善へ戻す
  12. 第11章 仕様変更に追従できるKnowledge更新フローを作る
  13. 第12章 QAで暗号処理を調査し、人間の変更判断へつなぐ
目次
  1. セキュリティ要件の変更で、既存の暗号処理を調べる
  2. 復元した知識から、方式と処理位置を確認する
  3. 方針の決定と、取り組み全体の目標を分ける
  4. 知識を再利用しても、変更を決める責任は移らない

現在位置:第12章・全12章

セキュリティ要件の変更で、既存の暗号処理を調べる

QAチャットの活用を始めた直後、セキュリティ要件の強化対応が必要になった。対象には開発当時の暗号方式が残っていた。どの方式を使い、どこで処理しているかを確認し、変更方針を検討する必要があった。

従来ならコードを解析し、処理と実装箇所を探し、変更可能な範囲を調べる。既存仕様書だけでは内部仕様に到達できず、詳細な知識も共有されていなかったため、調査には数日から1週間以上掛かる可能性を想定していた。この期間は従来手順の見通しであり、比較試験で測定した値ではない。

復元した知識から、方式と処理位置を確認する

内部構造をRAGとして整理していたため、QAで使用方式と該当する処理の位置を確認できた。さらにAIに変更候補と理由を提示させ、その理由を人間が検証した。

この対応では、半日足らずで対応方針を確定し、フィージビリティ確認へ移った。候補が出たことを仕様の確定とはせず、組織のルール、セキュリティポリシー、将来の影響も人間が確認した。

方針の決定と、取り組み全体の目標を分ける

この場面では、委託先へ問い合わせず社内で調査と検討を進められた。取り組み全体では社員工数25%削減・委託費半減を目標とし、取り組みでは目標の大半を達成した。

ただし、この場面だけの実測削減率や、個々の目標の達成値は公開していない。目標をそのまま実績値へ読み替えることはできない。

ここで確認できたのは、調査結果を残したことで、次の変更で方式・処理位置・選択肢を探す起点を持てたことである。委託開発費の削減はQAチャット構築の対象外としていた領域であり、今後の検討として区別する。

知識を再利用しても、変更を決める責任は移らない

この事例を通じ、古いシステムを理解する作業は、図や文書を作って終わるものではなかった。現行の処理へ到達でき、その知識を後の問い合わせや変更検討へ戻せることが必要だった。

AIは候補と理由を整理できるが、現在の状況でどれを選ぶかまで固定できるとは限らない。仕様を復元し、人とAIに適した形で参照できるようにし、採否は人間が決める。この分担が、廃止できないシステムを理解・変更できる状態へ戻す取り組みの結論である。