事例実践事例 / 公開物 / case
第11章 仕様変更に追従できるKnowledge更新フローを作る
仕様や運用環境の変化に合わせ、RAG・人間向け資料・UI操作手順を更新する方法を整理する。古い情報による誤案内を防ぎ、継続的に正しい状態を維持する運用を考える。
2026年3月更新履歴
読む目的: 自然言語サービス・RAG・ナレッジ / AI × ソフトウェア開発 / 事例・実務
このBookの目次(全12章)
- 全体構成
- 第1章 仕様を答えられない状態から、復元すべき情報を決める
- 第2章 対象システムの変更を妨げる構造と知識の不足を整理する
- 第3章 調査の起点を作るため、ファイルとクラスの役割を整理する
- 第4章 コードから仕様と依存関係を復元する
- 第5章 処理の流れを復元し、変更影響を追えるようにする
- 第6章 人が読む仕様とAIが使うKnowledgeを分ける
- 第7章 UI操作と内部処理を結び付け、操作結果を追えるようにする
- 第8章 復元したKnowledgeを、根拠を確認できるQAへつなぐ
- 第9章 正しさ・出典・回答拒否から、QAの利用可否を評価する
- 第10章 評価結果をKnowledgeと回答範囲の改善へ戻す
- 第11章 仕様変更に追従できるKnowledge更新フローを作る
- 第12章 QAで暗号処理を調査し、人間の変更判断へつなぐ
現在位置:第11章・全12章
昨日正しかった情報も、現行仕様とは限らない
セキュリティ要件、外部システムの仕様、運用環境が変われば、過去に正しかった説明も現行の根拠ではなくなる。廃止機能の案内や旧仕様の設定を自然に答えてしまう状態は、誤回答と同じ問題を持つ。
そこで、RAGの構造化知識だけでなく、人向け資料とUI操作手順も更新対象にした。検索用の説明だけを直し、図や手順に古い情報を残す構成にはしなかった。
変更を、関連する資料へ戻す
更新の流れは、変更の発生、影響範囲の特定、該当データの修正、QAチャットでの確認、必要に応じた再評価とした。変更箇所を単独で扱わず、関連する知識と操作への影響を確認するための手順である。
人向けには画像付き手順書、操作説明、FAQを整備し、「何かあったときに何をするか」も残した。当時使用したプロンプト集も、目的ごとに再利用できる形へ整理した。
回答に適した情報と、資料で確認する情報を分ける
QAには、非構造データを直接回答するのではなく、人向け資料へ誘導する挙動を持たせた。すべての情報をチャットの回答だけで完結させず、確認に適した表現へ戻れるようにした。
この章が扱うのは情報を更新するための設計と手順である。新しい自動更新システムや、長期運用の測定値を追加して示すものではない。次章では、復元した知識を実際の暗号処理の調査へ利用した場面を振り返る。