事例実践事例 / 公開物 / case
第2章 対象システムの変更を妨げる構造と知識の不足を整理する
対象となる約3万行のC#業務アプリケーションの状況を整理する。不要コード・連携責務・処理フロー・設計意図が分かりにくい問題から、仕様と知識を復元する必要性を示す。
2026年3月更新履歴
読む目的: 自然言語サービス・RAG・ナレッジ / AI × ソフトウェア開発 / 事例・実務
このBookの目次(全12章)
- 全体構成
- 第1章 仕様を答えられない状態から、復元すべき情報を決める
- 第2章 対象システムの変更を妨げる構造と知識の不足を整理する
- 第3章 調査の起点を作るため、ファイルとクラスの役割を整理する
- 第4章 コードから仕様と依存関係を復元する
- 第5章 処理の流れを復元し、変更影響を追えるようにする
- 第6章 人が読む仕様とAIが使うKnowledgeを分ける
- 第7章 UI操作と内部処理を結び付け、操作結果を追えるようにする
- 第8章 復元したKnowledgeを、根拠を確認できるQAへつなぐ
- 第9章 正しさ・出典・回答拒否から、QAの利用可否を評価する
- 第10章 評価結果をKnowledgeと回答範囲の改善へ戻す
- 第11章 仕様変更に追従できるKnowledge更新フローを作る
- 第12章 QAで暗号処理を調査し、人間の変更判断へつなぐ
現在位置:第2章・全12章
変更の前に、使われている処理と責務を把握する
対象はWindows上で動く、約3万行のC#業務アプリケーションだった。単体で完結せず、他システムとも連携していた。長年の改修で、廃止機能のコード、呼び出されない関数、参照されない処理が残り、どこが現在も使われているか分かりにくかった。
処理フローや連携先との責任範囲も俯瞰できない。改修履歴は局所的な変更が中心で、影響範囲が分からないことが、大きな変更を進めにくくしていた。
不足していたのはコードではなく、対応関係だった
実装は存在しているが、どの機能を担い、どの条件で動き、他システムへ何を渡すかが共有されていなかった。設計意図や過去の判断理由も、現担当者が参照できる形には揃っていない。
そこで、ソースコードから構造・振る舞い・責任を抽出し、UI、実動作、既存資料、担当者の知識と照合する方針とした。資料が不足している部分を、AIの推測だけで埋めることはしない。
調査対象をこのように捉えると、古いコードを新しい技術へ置き換える前に、何を調べ、何を維持するかを説明できる。次章では、ファイルとクラスの位置から調査を始められるよう、プロジェクトの地図を作る。