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実践事例 / 公開物 / case

02. 何をAIに任せ、何を人間に残したか

問い合わせの性質を分け、自然言語処理と根拠検索はAIへ、専門判断と例外対応は人間へ残す責任境界を整理する。

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  1. 公開

Applied AI / HITL / 責任境界 / 業務設計

読む目的: AI導入・責任・評価 / 事例・実務

このBookの目次(全9章)
  1. 全体構成
  2. 00. このケーススタディについて
  3. 01. なぜAIを導入したのか
  4. 02. 何をAIに任せ、何を人間に残したか
  5. 03. PoCで「使えるか」をどう判断したか
  6. 04. RAG / Knowledgeをどう設計したか
  7. 05. AIをどこで止めるか
  8. 06. 顧客体験をどう変えたか
  9. 07. AIから人間へどう引き継ぐか
  10. 08. 導入後にどう育てるか
  11. 09. この事例から得た設計原則
目次
  1. 問い合わせを一律に自動化しない
  2. Responsibility Boundary
  3. 問い合わせごとに実行権限を変える
  4. 採用しなかった境界
  5. 委任レベルを変える

現在位置:第2章・全9章

問い合わせを一律に自動化しない

同じ顧客サポートでも、問い合わせの性質は異なります。このケースでは、過去の問い合わせを次の三つに分けて考えます。

  1. 既存文書に回答根拠があり、確認事項も比較的定型的である
  2. 既存文書に根拠はあるが、症状の切分けや専門判断が必要である
  3. 個別調査や開発部門への確認が必要である

AIの主な対象は1です。2と3まで自動化率を上げるためにAIへ任せると、根拠の弱い回答や、影響を判断できない案内が増えます。自動化率ではなく、責任を持って回答できる範囲を先に決めます。

Responsibility Boundary

AIと人間の回答責任を分ける

+の付いた項目を選ぶと、詳しい説明が下に表示されます。

AIと人間の回答責任を分ける本文の工程・分岐・役割を示します。ノードを選ぶと前後の関係を確認できます。問い合わせ既存システム・工程AIAI支援既存システム / Knowledge知識・根拠回答条件を満たすか判断・確認根拠に基づく回答知識・根拠人間へ引継ぎ人間自然な表現の理解AIの役割不足情報の追加質問AIの役割Knowledge検索AIの役割根拠に沿った回答案AIの役割専門判断人間の役割個別調査人間の役割影響の大きい判断人間の役割例外対応人間の役割AIと人間の回答責任を分ける本文の工程・分岐・役割を示します。ノードを選ぶと前後の関係を確認できます。問い合わせ既存システム・工程AIAI支援既存システム / Knowledge知識・根拠回答条件を満たすか判断・確認根拠に基づく回答知識・根拠人間へ引継ぎ人間自然な表現の理解AIの役割不足情報の追加質問AIの役割Knowledge検索AIの役割根拠に沿った回答案AIの役割専門判断人間の役割個別調査人間の役割影響の大きい判断人間の役割例外対応人間の役割

詳しい説明

気になる項目を選ぶと、その役割や判断理由を確認できます。

問い合わせ

問い合わせ。次の工程:AI。

AI

AI。次の工程:既存システム / Knowledge。

既存システム / Knowledge

既存システム / Knowledge。次の工程:回答条件を満たすか。

回答条件を満たすか

回答条件を満たすか。次の工程:満たす:根拠に基づく回答/満たさない:人間へ引継ぎ。

根拠に基づく回答

根拠に基づく回答。この工程の位置と前後のつながりを確認します。

人間へ引継ぎ

人間へ引継ぎ。この工程の位置と前後のつながりを確認します。

自然な表現の理解

自然な表現の理解。この工程の位置と前後のつながりを確認します。

不足情報の追加質問

不足情報の追加質問。この工程の位置と前後のつながりを確認します。

Knowledge検索

Knowledge検索。この工程の位置と前後のつながりを確認します。

根拠に沿った回答案

根拠に沿った回答案。この工程の位置と前後のつながりを確認します。

専門判断

専門判断。この工程の位置と前後のつながりを確認します。

個別調査

個別調査。この工程の位置と前後のつながりを確認します。

影響の大きい判断

影響の大きい判断。この工程の位置と前後のつながりを確認します。

例外対応

例外対応。この工程の位置と前後のつながりを確認します。

担当保持する役割
AI自然な問い合わせの解釈、不足情報の確認、検索要求の構成、根拠に沿った回答案
人間専門判断、個別調査、高影響の操作、例外の処理、最終的な責任
既存システム / Knowledgeマニュアル、仕様、FAQ、確認済み障害情報、機種・版・公開可否などの事実と制約

既存システムの役割はKnowledgeの保管だけではありません。顧客・契約・製品の状態、権限、受付番号、変更やトランザクションの確定は、生成AIとは別の責任境界へ置きます。AIは必要な情報を要求できますが、権限判定や更新結果を推測して確定してはいけません。

問い合わせごとに実行権限を変える

問い合わせの状態AIが行うこと人間が行うこと既存システムが担保すること
公開文書だけで回答できる意図整理、追加質問、根拠検索、根拠範囲内の回答原則として介在しない製品・版・公開状態の確定
根拠はあるが症状の判断が必要情報収集、候補根拠、確認済み事項の整理原因切分け、回答の採否、次の調査判断障害・契約・製品状態の参照
設定変更や高影響操作を含む注意点と根拠の提示、有人移行影響判断、承認、顧客への最終案内権限、実行、監査ログ、状態更新
根拠がない、または矛盾する回答を停止し、停止理由を記録個別調査、必要なら開発部門へ確認調査結果や新しいKnowledgeの登録先

採用しなかった境界

「すべてAIが回答し、人間が後で監査する」方式は採りません。顧客へ提示した後では取り消せない案内があり、事後監査だけでは責任境界にならないためです。

一方、すべての回答を人間が承認する方式では、定型的な問い合わせも全件有人のままになり、変えたい業務構造が残ります。

また、AI自身が出すConfidence Scoreだけで委任レベルを決めません。回答文の自己評価より、機種・版・公開可否、根拠の有無、高影響操作かどうかといった外部から確認可能な条件を優先します。

委任レベルを変える

回答根拠と確認事項が明確な問い合わせでは、AIへ対話から回答まで委任できます。専門判断が必要なら、AIは情報収集と候補提示までに留めます。個別調査が必要なら、入口で必要情報を集め、人間へ渡す支援に限定します。

同じシステムの中でも、問い合わせのリスクと不確実性に応じて委任レベルを変える設計です。これは「AIを使うか、使わないか」の二択ではありません。どこまで任せ、どこから人間が受理するかを決めることです。

詳しい原則は、AIと人間の責任境界で扱っています。

この責任分担をPoCの評価単位へ落としたものが、次章のRetrieval、Generation、Business Acceptanceです。