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実践事例 / 公開物 / case

01. なぜAIを導入したのか

検索高速化では変わらない全件有人の業務構造を捉え、顧客の自己解決と専門対応への集中という価値からAI適用を考える。

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  1. 公開

Applied AI / DX / 業務設計 / 顧客価値

読む目的: AI導入・責任・評価 / 事例・実務

このBookの目次(全9章)
  1. 全体構成
  2. 00. このケーススタディについて
  3. 01. なぜAIを導入したのか
  4. 02. 何をAIに任せ、何を人間に残したか
  5. 03. PoCで「使えるか」をどう判断したか
  6. 04. RAG / Knowledgeをどう設計したか
  7. 05. AIをどこで止めるか
  8. 06. 顧客体験をどう変えたか
  9. 07. AIから人間へどう引き継ぐか
  10. 08. 導入後にどう育てるか
  11. 09. この事例から得た設計原則
目次
  1. 技術ではなく、変えたい業務から始める
  2. 提供したい価値
  3. AI以外の選択肢も比較する
  4. なぜ生成AIとRAGだったのか

現在位置:第1章・全9章

技術ではなく、変えたい業務から始める

顧客から届く問い合わせには、「印刷しても紙が出ない」のように、症状だけでは原因を判断できないものがあります。担当者は対象機種、接続方法、OS、エラー表示などを確認し、回答に応じて次の質問を変えながら、マニュアル、仕様書、FAQ、障害情報を探します。

既存の検索支援を改善すれば、担当者が資料を見つける時間は短くできます。

しかし、すべての問い合わせに担当者が入り、確認、検索、判断、回答を行う構造は残ります。局所的な検索時間を短縮しても、顧客が回答を待つことや、人間が定型的な問い合わせにも介在することは変わりません。

提供したい価値

このケースで先に置いた価値は、次の二つです。

  • 顧客が、専門用語や内部分類を知らなくても、回答可能な問い合わせを自分で解決できる
  • サポート担当者が、症状の切分け、個別調査、影響の大きい判断など、人間の専門性が必要な仕事へ集中できる

そのため、出発点は「RAGを導入する」ではなく、問い合わせを性質によって分け、業務の流れを変えることになります。

業務価値から適用手段を選ぶ

+の付いた項目を選ぶと、詳しい説明が下に表示されます。

業務価値から適用手段を選ぶ本文の工程・分岐・役割を示します。ノードを選ぶと前後の関係を確認できます。顧客と担当者へ届けたい価値人間変えたい業務プロセス既存システム・工程AI・人間・既存システムの役割人間必要な能力は何か判断・確認生成AIAI支援RAG知識・根拠ルール / 既存システム既存システム・工程人間人間業務価値から適用手段を選ぶ本文の工程・分岐・役割を示します。ノードを選ぶと前後の関係を確認できます。顧客と担当者へ届けたい価値人間変えたい業務プロセス既存システム・工程AI・人間・既存システムの役割人間必要な能力は何か判断・確認生成AIAI支援RAG知識・根拠ルール / 既存システム既存システム・工程人間人間

詳しい説明

気になる項目を選ぶと、その役割や判断理由を確認できます。

顧客と担当者へ届けたい価値

顧客と担当者へ届けたい価値。次の工程:変えたい業務プロセス。

変えたい業務プロセス

変えたい業務プロセス。次の工程:AI・人間・既存システムの役割。

AI・人間・既存システムの役割

AI・人間・既存システムの役割。次の工程:必要な能力は何か。

必要な能力は何か

必要な能力は何か。次の工程:自然な表現を解釈:生成AI/根拠を探す:RAG/確定的に処理できる:ルール / 既存システム/専門判断が必要:人間。

生成AI

生成AI。この工程の位置と前後のつながりを確認します。

RAG

RAG。この工程の位置と前後のつながりを確認します。

ルール / 既存システム

ルール / 既存システム。この工程の位置と前後のつながりを確認します。

人間

人間。この工程の位置と前後のつながりを確認します。

AI以外の選択肢も比較する

この業務課題に対して、生成AIだけが選択肢だったわけではありません。比較すべきなのは技術名ではなく、顧客が解決へ進むまでに何が残るかです。

選択肢改善できること残る課題このケースでの位置づけ
FAQの整理既知の質問へ短く回答できる利用者が適切なFAQを選ぶ必要があり、症状からの切分けは残る回答可能範囲のKnowledgeとして活用する
検索機能の改善担当者が資料を探す時間を短縮できる受付、追加質問、判断、回答は有人のまま残る担当者支援には有効だが、自己解決だけでは不十分
固定フォームとルール対象が限定されれば再現可能に処理できる分岐が増えるほど保守が難しく、利用者に分類知識を求めやすい機種選択や高影響操作など、確定的な処理へ使う
既存システムの全面改修情報と処理を統合できる可能性がある改修範囲が大きく、自然な問い合わせの解釈や文書横断は別途必要AI導入の前提とはせず、必要なAPI・状態参照だけを接続する
生成AI + RAG + 有人移行自然な表現から不足情報を集め、根拠を用いて回答か引継ぎへ進めるKnowledge統制、停止条件、評価、運用が必要自己解決と専門対応を一つの流れへつなぐ案として採用する

採用理由は、生成AIが流暢だからではありません。問い合わせの入口で顧客へ内部分類を要求せず、確認済み情報を保持したまま、回答と有人対応のどちらにも進める点にあります。

反対に、機種番号の照合、契約状態、権限、受付番号、処理結果の確定は生成AIへ任せません。既存システムやルールで確定できる処理をAIへ置き換えても、不確実性と運用負荷を増やすだけだからです。

なぜ生成AIとRAGだったのか

固定フォームやルールベースの分岐だけでは、利用者が分類や入力項目を理解していることを前提にしやすくなります。生成AIは、利用者の自然な表現を受け取り、不足情報を対話で確認する部分に適しています。

一方、生成AIの内部知識だけで製品固有の回答を確定することはできません。回答根拠は、既存システムが保持するマニュアル、仕様書、FAQ、確認済みの障害情報から取得する必要があります。

そこでRAGを組み合わせます。

生成AIとRAGは目的ではなく、業務変化を実現するために選ぶ手段です。AIを使わなくても安全かつ十分に価値を出せる処理は、ルールや既存機能へ残します。この順序は、RosariumのAI適用判断と同じです。

次章では、この比較を「AIに任せる処理」「既存システムが確定する処理」「人間が責任を持つ判断」へ分解します。